結論をお伝えする前に、押さえておきたいことから確認していきましょう。
一部の合成洗浄料を除いて、「石鹸」と呼ばれるものには油脂類を由来とする脂肪酸が含まれています。ですから、オイル入り石鹸でないものを探す方が難しいくらいなんですね。

そもそも石鹸とは、動物や植物などの脂肪分が「鹸化」と呼ばれる強いアルカリ反応によって作られるもの。オイル石鹸＝ベタベタするのではなく、あくまでも原料油脂に含まれた脂肪酸の性質や含有量、一緒に配合されている他の保湿成分などが原因で、石鹸そのものに多少のベタつきを感じることがある、ということなのです。
オリーブオイル石鹸に限らず、石鹸類を使ってベタベタを感じたことがある人は、製品表示をよく見直してみると合点がいくかもしれません。

石鹸に保湿力を与えている成分は、主に２種類あります。
一つは、製造工程であとから添加された保湿剤。もうひとつは、原料油脂そのものの保湿力です。
オリーブオイル石鹸のもつ保湿力は、後者に当てはまります。

製造工程で添加された保湿剤には、グリセリン、セラミド、コラーゲンやヒアルロン酸などさまざまな美容成分があります。また、鹸化ではなく保湿目的で追加されている油脂分もあります。
これらの添加物は、石鹸そのものの洗浄力によって肌に残らず落ちてしまう場合や、逆に肌に残るように設計されているものもあります。添加された保湿剤が肌に残る製品では、繰り返し使ううちにいつまでも肌に残ってしまい、肌トラブルの原因となることもあるので、敏感肌の方は特に注意が必要です。

一方、原料油脂の脂肪酸そのものがもっている保湿力は、洗い流せば落ちるというものではありません。
例えば、オリーブオイルの特長的な脂肪酸であるオレイン酸は、肌に必要な油分は落とさないのに、余分な皮脂や汚れは落とすという性質があります。つまり、オリーブオイル石鹸で洗顔すれば、添加物ではなく天然の油脂でうるおいが守られるのです。

先に述べたように、石鹸の性質は原料油脂の脂肪酸そのものの特長に大きく関係しています。
つまり、肌のために良い脂肪酸を含む高品質の原料を使うことが、良質な石鹸づくりには大切なのです。
洗浄力は強いけど皮脂も落としすぎてしまう石鹸や、皮脂は落とさないけれど洗浄力も弱い石鹸は、肌荒れの原因になりやすいと言えるでしょう。

オリーブオイルを原料とする石鹸なら、皮脂をとりすぎないオレイン酸という脂肪酸が洗浄成分として働くので、保湿のための余計な添加物はいりません。
また、汚れをしっかり落とせるのもオレイン酸の特長ですから、短い時間で汚れを落として皮脂はしっかり守ることができます。
さらに、オリーブ自体にほのかな自然の香りがあるため、香料の添加も不要。
シンプルな素材で肌に負担をかけないのが、オリーブオイル石鹸の特長といえるのです。

今回は、オリーブオイル石鹸に関する素朴な疑問にお答えしました。
そもそも石鹸の原料が油脂だなんて、知らなかった方もいるかもしれませんね。
「油を落とせるのは油」と考えればわかりやすいかもしれませんが、その油も種類によって相性があるので、原料油脂により皮膚への影響が変わってくるのです。
使ってみれば説明不要なオリーブオイル石鹸の保湿力と洗浄力を、一度試してみてはいかがでしょうか。