「オイルシャンプー」を辞書で引くと「オイルを頭皮や髪にすり込んで洗う」と書かれていることがよくありますね。でも、これは製品ではなく「手法」なので、近ごろ人気のオイルシャンプー製品とは話が別になります。
人気のオイルシャンプーとは、配合や基材にオイルが含まれている製品のこと。
オイルそのものを頭につけて洗うわけではなく、ベタベタすることはないので安心してくださいね。

オイルシャンプーをさらに詳しく説明しましょう。
シャンプーや石鹸などには「界面活性剤」という洗浄機能を持つ材料が含まれています。
広義のオイルシャンプー製品とは、
・界面活性剤が、オイルに含まれる脂肪酸を基材に作られているシャンプー
・界面活性剤の種類にかかわらず、保湿剤としてオイルが含有されているシャンプー
・上記のどちらか、または両方が当てはまるシャンプー
……ということになります。

オイルシャンプーは合成から天然まで幅広く、多様な原料と製品があります。
中でも近ごろ人気なのは、天然油脂が素材のオイルシャンプー。
それでは、なぜ天然油脂素材のオイルシャンプーが人気なのでしょうか。

油脂は含有する脂肪酸の種類によって性質が異なるため、目的にあわせた製品を選びやすいというメリットがあります。
例えば、肌も髪もべたつきがちなタイプの人には、皮脂を落とす作用の強いパルミチン酸やミリスチン酸が多く含まれたシャンプーが向いています。
これらはパーム油、馬油、ココナツオイル、米ぬか油に多く含まれているので、製品にこれらの名称があることがひとつの目安になります。
逆に肌も髪も乾きやすい人、毎日のようにシャンプーするので皮脂を取り過ぎたくない人はオレイン酸の多く含まれているシャンプーが向いています。
代表的なものとしてはオリーブオイルや椿油があります。

注意しておきたいのは、シリコン・ノンシリコンのシャンプーでも保湿剤としてこうした天然オイルが配合されている製品もあること。
「ノンシリコンシャンプーは髪がギシギシするからいや」という人も、成分をよくチェックしてみましょう。
また、配合されている油脂や基材は１種類だけとは限りません。メーカーは独自色を出すため、さまざまな工夫を凝らして配合をしています。それだけに、自分にぴったりの製品を選ぶのは意外と難しい面もあります。

しっとりツヤツヤ髪になれると人気のオイルシャンプーですが、配合される油脂により脂肪酸の特性が異なり、人によって合うタイプが異なることはおわかりいただけましたか？

今のオイルシャンプーブームは、もともと
「シャンプーに配合されているシリコンは髪と地肌を傷める」
→「だったらノンシリコンタイプにしよう！」
→→「ノンシリコンでは髪がギシギシするけれど、オイル成分配合なら大丈夫！！」
という流れで、たどりついたブームでした。

ところが、そのシリコンにも「シリコンオイル」というものがあります。
つまり、広義ではシリコンシャンプーにもオイルシャンプーといえるものがあるんです。
「オイル」だけならシリコンオイル配合もオイルシャンプーだなんて、ちょっと衝撃的ですよね。

シリコンオイルの特長は、髪表面の乾いた部分にはよく残り、水分の多い髪の内部には吸着しないという特性です。本来は水分が多く含まれる髪内部への保湿力が足りないと、見た目はつややかなのにセットしにくい、手触りの悪い髪になってしまいます。
現在の「天然オイルシャンプー」ブームは、見た目だけでなく髪の手触りや健康度にもこだわる人たちがリードしてきたようです。

話題のオイルシャンプーについて、ちょっと突っ込んで解説してみました。
健康で美しい髪を作るには、自分の肌や髪タイプに合ったシャンプー選びが大切。しかし、オイルシャンプーには、たくさんの素材や配合があり、なかなか選びきれないかもしれません。
素材それぞれの特性を理解すれば、ベストマッチのシャンプーにたどりつけるはずですよ。